はきだめにつる

いつまでも輝いていて

映画「サマーソング」感想

午後からの現場と同じ会場で初日舞台挨拶をやるとのことだったので、ノリで入ってきました。キラキラなイケメンの波動を感じたかった。出来心です@シネマート新宿

吉沢亮くんのおたくがみんな若いので、身内と待機列に並びながら、普段のファン層とのギャップがやばくてヘロヘロになった。推しのファンは年齢層が高い。



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吉沢亮くん初主演作。前情報を一切調べていなかったので、当日まで舞台挨拶登壇者も出演者も誰がいるのか把握していないまま観ました。よくよくポスターを見たら、目立つところに馬場良馬さんと和田琢磨さんを発見。


一昔前によく製作されていた、テニミュ1stキャスト大集合映画(「ローカルボーイズ」とか)に少し雰囲気が似てる。撮影予算はロカボよりやや高そうですが。トラウマ持ちの主人公、男同士の友情、ゆるい日常と切なさと心強さと。

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以下ネタバレあり感想。


市原健一(イッチー)は憧れの父の不慮の事故により大好きなサーフィンをやめてしまい、それからは親友達と彼女探しをしたり、アイドルの竹原あいこの追っかけをする日々を送っていた。

そんなある日、親友のまこっちゃんとバンズが海に行こうとイッチーを誘う。

海に行く事に抵抗があったイッチーだったが、海の家で働いてる友人のたけしとひろきに会うために渋々海に向かう事に。

その道中で若い女の子のつぐみとえみこと出会った3人だったが、この2人の女性にお金をスラれてしまう。

海の家でたけしとひろきに再会するも、お金をスッたつぐみとえみこまでもと再会してしまう。

果たしてイッチーは再びサーフィンを再開するのか?そして友人やつぐみ達との関係はどうなってしまうのか?


非常に起承転結が素早いストーリーが特徴の本作、冒頭約10分程で主人公(お亮)がサーフィンへのトラウマを持っていると発覚→親友2人(浅香くん・燈くん)「俺らが一肌脱いで、トラウマ克服させようぜ!→彼女作ろうぜ!(口実)→海に向かうぜ!ここまでおそらく20分くらい?多少の違和感や不自然さも、サクサク進んでいくストーリーの前では塵に等しい。



23歳の親友三人組、イッチー(吉沢亮)・まこっちゃん(浅香航大)・バンズ(赤澤燈)。彼らは将来への漠然とした不安を抱えつつ、それぞれ惰性で日々を過ごしていた。そんな中、イッチーのトラウマ克服のために、まこっちゃんとバンズはある計画を立てる。海に行くのだ。

イッチーにもう一度、サーフィンをしてほしい。

彼らは全員童貞。

彼女を、ピチピチビキニギャルをゲットし、童貞を卒業しよう!
童貞卒業を口実に、イッチーを焚き付ける二人。

溜まり場となっているイッチーのアパートで、グラビアアイドルとのエッチな妄想を繰り広げてはゲスい話で大騒ぎ。
勇んで海へと向かうところまではいいものの、女性免疫の少なさゆえに行きずりの女にころっと騙され、痛い目を見てしまう。

イッチーのアパートで三人組がギャーギャー騒ぐシーンでは、撮影中に騒ぎすぎてロケ地のアパートの大家さんに怒られたとのこと。納得。

そんな彼らの物語に絡んでくるワケアリ女性陣。
窃盗癖がやめられない女・つぐみ(筧美和子)とその友人えみこ(天野麻菜)。
売れないグラビアアイドル・竹原あいこ(丸高愛実)。

そして、三人組の友人たち、たけし(和田琢磨)とひろき(馬場良馬)。




自分がイッチーたちとドンピシャ同世代なので、自身の境遇と重ねてしまう部分が多かった。

23ってなんだか中途半端ですよね。大学までのなが~~~~いモラトリアムを抜け出した先に待っているのは、社会人としてはひよっこなのに、年齢的には充分な「大人」。とても宙ぶらりん。
仮にイッチーたちが大卒だとして、社会に出て2年目。右も左もわからずとりあえずがむしゃらに働いて1年。2年目ともなると慣れて手抜きを覚え、高かったはずのモチベーションは次第に薄れていく。

大多数の人々は、23歳にもなれば自分は結局、何者にもなれない「凡人」側の人間なのだと諦めがつく。幼い頃描いたような「大人」になれている人間のほうが稀だ。
生活のために仕事をして、お金を稼いで、それなりに道を踏みはずさないよう生きる。そんな中、同級生や友人から結婚の知らせがあったりして、自分はパートナーがいなくて焦ったり、でもまだ自由でいたくて、なんかそういうの。

だからこそ、ひとつ特別なものだったり、諦めきれない夢を持っているイッチーに、まこっちゃんやバンズたちが期待をかけてしまう気持ちは痛いほどに理解できた。
殻に閉じ籠って諦めた顔をしているイッチーに、歯がゆさを感じてしまうのだ。


たとえば、まこっちゃんは実家の自動車工場を継ぐのだという。彼が昔抱いていた「夢」は劇中で言及されなかったけど、きっとなにかを諦めて、もしくは惰性で選んだ未来だってことが示唆されていた。敷かれたレールを進んでいくことにきっと疑問も抱いたのだろう、だけど。何者にもなれないからこそ、これからも生活をしていくために妥協する。
どどどど童貞ちゃうわ!」って言い出しそうなアホで気のいいまこっちゃんとは裏腹に、ちゃんとこれからのことを考えて生きようとしてるまこっちゃんに感情移入して苦しかった。
※そんなヘビーな映画ではないので安心してお楽しみください


たけしとひろきは、しがらみに囚われずに好きな仕事を選び、目先の楽しみを優先して生きている。今が楽しいほうがいいじゃん!って言い切れる人は強い。



まこっちゃんやバンズたちの中でイッチーはきっとヒーローで、普通に憧れて勝手に期待をかけて、挫折をしたら皆で励ます。でも、トラウマを克服したイッチーは彼らからの期待に潰されない。

「みんなイッチーのことが好きなんだよ」って台詞があるけど、それである程度通じてしまう友人関係って、綺麗事かもしれないけど素敵だなあと思った。世界がやさしい~~~~。程度の大小はあれど、友人同士で憧れを抱き合うことって普通にある。心の片隅で羨ましく思うことだってある。
「サマーソング」では、そんなちょっと湿った友情を、とても軽やかに描いている。



イッチーはじめ3人組の愛すべきおバカ感は見ていて元気になるし、こんなにお顔がいいのに童貞って設定自体破綻するのでは?って思ったけど、女性の扱いやキョドり感も、男3人でいたほうが楽しいし!?みたいな強がりも、グラサンかけてふざけてドヤってるシーンも、海のオーラ(?)を感じるために海に向かってばんざーい!してるシーンも、基本的に偏差値足りてなくて大笑いした。
男って馬鹿ねって呆れてしまうような可愛さ。

浅香くん、キモータを演じるのがすごいうまくて、不憫でかわいかった。みんなが集まってるとこで一人だけおかしいテンションになって周りがしらけるの、おたくあるある。三人組でいるときのボケの応酬もそうだけど、ちょっとした掛け合いが自然で楽しい。

肉食の女性陣に迫られて股間を撫でられキョドりまくるお亮とともるんは一見の価値あり。




舞台挨拶ではマスコミ用のフォトセッションタイムが設けられていて、客席後方のムービーカメラに向かって登壇者が手を振るのだけど、お亮の手の振り方がミーアキャットみたいで可愛かった。顔の横でぺぺぺぺぺぺぺぺって小刻みに振るの。ずるい。


「青春を謳歌できなかった人。周りの環境がどんどん変わって、自分だけが置いてけぼりな気がする人。あと一歩が踏み出せない人。そんな人たちの背中を押す力の1つになれればうれしいかなと思います。男ってどこまでもバカで愛おしい生き物だなと、感じてもらえる作品です。」
吉沢亮が映画初主演 中前勇児監督『サマーソング』9・17公開 | ORICON NEWS:引用)


たとえば日本中がパニックに陥ったりとか、隕石が落ちたり、大事件が起こるような作品ではない。

これからも彼らのゆるい日常は続いてゆくのだろうけど、今回の出来事をきっかけに、ちょっとだけ世界はきらきらして映る。彼らの未来が少しだけ想像できて、なんだか自分まで前向きになれた。


お亮、ウェットスーツが異様に似合う。本格サーフィン映画って銘打ってあったけど、主人公がサーフィンするのはラストシーンだけでした。何がサマーソングだったのかはわかりません。







(2019/8/13加筆修正・追記)

本作のDVDが未だ発売されていないことを知り驚愕しています。
推しの作品が上映イベントまでやった上お蔵入りするの、わたしも経験がありますが*1切ないですよね………。

*1:映画「ハピネスインリトルプレイス」(2012)