はきだめにつる

いつまでも輝いていて

2016年観劇総まとめ

今年も無事推し納めをしてきました。

2016年がようやく終わる~~~。嬉しいな。

身内と「(推しを見なすぎて)推しの顔忘れる」って冗談で話してたけど、本当に忘れてもおかしくないくらい現場がなかった。

なんだかんだで5年目に突入する俳優おたく生活。推しにはまだまだわたしの偶像でいてほしい。頼むぞ。



今年は推しの現場が少ないのをいいことに、観劇欲の赴くまま様々な作品に足を運んだ1年となりました。

来年こそは推しの映像俳優としての本領発揮を切実に期待しつつ、2016年に観劇した作品を振り返っていこうと思います。


2月


私のホストちゃん THE FINAL~激突!名古屋栄編

2月6日(天王洲銀河劇場

俺たち栄の暴れ馬たちがホストを目指す!No.1!No.1!

2014年冬、友人に連れられて初めてホストちゃん(福岡中洲編)を観た。

めちゃめちゃ楽しかった記憶が先行して、ホストちゃんが再演したら絶対に行くと心に決めていた。推しは特別いなかったけど、強いて言うなら夕妃さんと深雪くんのホス毛兄弟が好きでした。

─────── 終わってみたら璃来哉くん(演・黒羽麻璃央)に陥落していた。

2月6日に璃来哉くんの姫(=おたく)によるNo.1企画が決行されることはうっすら把握していたけど、麻璃央くんなら物販分はラブ入れようかな、くらいのゆる~いテンションで席に着いた自分を殴りたい。*1

必死にラブ(=ホストちゃん世界の通貨単位)を贈る彼の姫たちに呼応するように、No.1レビューの幕が上がった瞬間、真っ白な羽を背負って歌い出した璃来哉くんはさいっこうにギラギラしていた。ギラギラしすぎて後に発売されたDVDでは物理的に発光していて大笑いした。

自分のレビューは会場みんなで盛り上がって欲しかったし、

自分にラブをいれてくださった誰かにラブを入れた関係なしにホストちゃんのラストを楽しんで欲しかった!

黒羽麻璃央 公式ブログ - まりおのホストちゃん - Powered by LINE

ほんとにめちゃくちゃ楽しいNo.1レビューでした!

「ゴーシゴシご指名\チョーーダイ!/」のシャウトがかっこよすぎて永遠に引きずっている。
ホストちゃん後遺症で麻璃央くんに沸くのそろそろやめたい。


途中でママ僕*2観にきたんだっけ?って錯覚するほど、ホストたちが「ママ!」「ママ!」と連呼するので笑った。
小川菜摘さんの“ママ”、包容力がすごい。可愛かった~~~。




SHOW BY ROCK!! MUSICAL〜唱え家畜共ッ!深紅色の堕天革命黙示録ッ!!〜

2月11日(Zeppブルーシアター六本木)

YGT*3なので、三次元のシュウ☆ゾーくん(演・三津谷亮)を絶対に見なければならないという謎の使命感に駆られていた。

サンリオが監修に入っているそうで、衣装の耳やしっぽがとてもボリューミーでもっふもふ。

リクちゃん(演・橋本祥平くん)は三次元に存在したんだなあ………………
全キャラクターの再現クオリティーが非常に高く、原作ファンとしても大満足の舞台化でした。

ユニット「シンガンクリムゾンズ」のボーカル・クロウを演じた米原幸佑さん、とにかく歌が凄まじく良かった。ライブパートでの盛り上げぢからがえげつない米原クロウ。ギターをイケイケに弾き鳴らすクロウちゃんがかっこよすぎて、ライブパートは家畜*4として赤ペンラ振りました。

ミュージカルと冠してはいるものの、世間一般が想像するミュージカルのように台詞を歌に乗せる演出はなく、芝居パートとライブパートが完全に独立している作品。最近2.5界隈でこの構成をよく見かける気がします。




3月


少年社中「パラノイア★サーカス」

3月2日(サンシャイン劇場

パラノイア~」の観劇後、Twitterで「毛利演出で黒執事のサーカス編観たい!!!!」と騒いでいたところ、実現して驚いたしめちゃくちゃ嬉しかった。

舞台「パラノイア★サーカス」感想 - はきだめにつる




5月


朗読劇「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」

5月15日(旧PARCO劇場


PARCO劇場の閉館に際して上演。ロビーには「ラヴ・レターズ」歴代カップルの公演写真が展示されていました。

錚錚たる顔ぶれの歴代カップルの中には推しの公演写真も並んでいて、推しがこの歴史ある作品の1ピースを担っているのだと実感してとても誇らしくなった。

朗読劇「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」(青木玄徳×遠藤久美子)感想 - はきだめにつる




6月


ミュージカル「エリザベート

6月30日、7月8日(帝国劇場)

城田トート閣下、人外すぎる。

とても肉感的なトート様。肉食獣のような美しさと惜しみないフェロモン。

ルバーブロンドに輝く髪がこれほどまでに似合う人間を、わたしは城田優と推し(ヅラ着用時)しか知らない。※井上トート様未見なので……
死ぬときはどうか彼のキッスで引導を渡してもらいたい。

肉食獣の咆哮と、這いずる蛇のような密やかな気配を併せ持つトート閣下。ルドルフの棺からズルリと這い出るシーン、気味が悪くて最高でした。

加藤憲史郎くん演じるルドルフ(幼少期)と並ぶと、まるでライオンと仔ウサギみたいなサイズ感でおもしろかった。

ルドルフ役をダブルキャスト(6月は古川雄大さん、7月は京本大我くん)で観たら、ルキーニもダブルで観たくなって非常に困った。手持ちのチケットは山崎育三郎さんのみだったので、増やそうにも成河さんの帝劇キャスケと仕事の休みがひたすらに合わず、泣く泣く見送りました。再演いつまでも待ってます…………

山崎ルキーニのシニカルで飄々としたイタリア男感がとても好き。舞台を縦横無尽に掻き回し、自分は高みの見物。甘やかな声の皮肉屋さん。ミルクもキッチュも、ルキーニのナンバーは全部キラーチューンでずるい。




7月


斬劇「戦国BASARA4 皇本能寺の変

7月5日(Zeppブルーシアター六本木)



原作ゲームで実際に使える固有技や固有奥義が殺陣に盛り込まれているのが楽しい。

又兵衛さんの佇まい、低く腰を落としてステージ上を右往左往する感じがまさに原作のモーションそのままなので驚いた。

「武将祭2013」ぶりに伊阪達也くんの慶次を見たら、なんだかすごく懐かしい気持ちになった。

明智光秀・天海役の谷口賢志さんはこの作品を以て舞台「戦国BASARA」を卒業されるとのこと。
もともと原作1プレイヤーに過ぎなかったわたしが舞台版に足を運ぶきっかけを作ってくださったのは賢志さん演じる明智・天海でした。2009年の初演から、蒼紅が卒業したあとも*5舞台「BASARA」を支えて下さった影の立役者。お疲れ様でした。




新・幕末純情伝

7月8日(紀伊國屋ホール


再演おめでとうございます!
こんなに早く再演すると思ってなかったからびっくりした!玲奈ちゃんの沖田総司・石田さんの坂本龍馬がまた揃うと思うと楽しみ!!

舞台「新・幕末純情伝」感想 - はきだめにつる




9月


舞台「瞑るおおかみ黒き鴨」

9月6日(天王洲銀河劇場

ちゃんと記事書こうと思ったものの書きあがってない…………
観劇後泣きすぎて水分不足による頭痛に襲われ、マチソワ間は銀劇のロビーで冷えピタ貼って寝てました。満身創痍でソワレ観た。




舞台「アヒルと鴨のコインロッカー

9月14日(中野ザ・ポケット)


2時間ぶっ通しのTHEストレートプレイ!

ドルジが河崎へ向ける陶酔が、どの媒体の「アヒルと鴨~」よりもずっとずっと濃い印象を受けた。

元の河崎像からドルジのトレースする河崎像がかけ離れていくほど、回想の中の河崎から生の匂いが消えていくような気がした。

細貝圭さん演じる謎の男(河崎)は、ぞっとするほど超然としていてどこか人間味がない。
裏表のない善人なのだけど、穏やかな雰囲気に終始しているせいか、感情が読めなくて不気味な印象を受ける。

「アヒルと鴨~」におけるキーマン・ドルジ。山田ジェームス武くん演じるドルジの、河崎にくっついて回ってるときの笑顔が無邪気で可愛くて、舌ったらずな日本語が愛しい。

舞台「アヒルと鴨~」の要になるのが多田直人さん演じる椎名。多田さんの一人語りと、舞台上で流れ続けるディランのメロディーが調和してこの作品世界の骨組となる。

ほさかさんのツイートを見て、どうやってまとめるのかなあとわくわくしていたのだけど、多田さんの語りも相まって非常にテンポよく展開していくのでとても見易かった。

物語の肝となる叙述トリックの部分も視覚的にわかりやすく、小説や映画版を未見で臨んでもきちんと理解できる作りになっていたのが凄い。




映画「サマーソング」初日舞台挨拶

9月17日(シネマート新宿)


舞台挨拶に登壇したお亮と燈くんは信じられないくらい可愛かったし、浅香くんは役と同じくらいテンションが高かった。




映画「サマーソング」感想 - はきだめにつる




10月


タクフェス「歌姫」仙台公演

10月29日(電力ホール

グッときたぜよ~~~!

タクフェス初体験でした!めちゃめちゃ楽しかった!!!

笑いあり、涙あり、踊りあり!王道エンタメど真ん中な作品。

招木がロビーにズラッと並ぶ様がお祭り感を煽る。
推し、タクフェス出ないかなあ。招木出したい。

2007年のドラマ版・歌姫がめちゃくちゃ好きだったのですが、舞台原作だと当時は知らず、再演すると知ってとても楽しみにしていた作品。

入山杏奈ちゃん超絶かわいい。鈴ちゃん、とてもハマり役だと思った。「太郎と鈴でタロタロりんりんり~ん!」のかわいさよ。

後半の太郎ちゃんと神宮寺くんのシーンはずるい。

人情ものに弱いわ土佐弁が心に刺さるわで、涙腺にもろにヒットして辛かった。登場人物がみんないとおしい。宅間さんの太郎ちゃんをまた観たい!






11月


ミュージカル「黒執事~NOAH'S ARK CIRCUS~」

11月26・27日(TOKYO DOME CITY HALL

さあ、魅惑のサーカスへ

火花あり、曲芸あり、魅惑のサーカス。
年末まで感想まとめようとおもってたのだけど無理だったからお正月休みの間に書けたらいいなあ。




12月



推しの現場・ハンサムライブ・黒執事大千秋楽という究極の三択を迫られた結果、あまりにも今年推しを見られなかったため本命現場を選ぶ。




「メンタルの限界を感じたら1枚好きなチケットを取る」というルールのもと1年過ごしてみた結果、仕事(推し事)で病んでる時期に観劇が集中してるの、我ながらわかりやすくて笑う。

仕事も推し事も辞めずに無事年越しできそうです。

2017年は年始から推しの現場があるので2016年よりずっと未来が明るい。

それではよいお年を~~~!




*1:私のホストちゃんにおける専門用語(ラブ、姫、No.1レビューなど)は各専門家のブログをご参照ください。ホストちゃんは過熱コンテンツのため、姫たちの熱いブログをご覧頂けることでしょう。

*2:舞台「ママと僕たち」(2013‐2016)ネルケプランニング制作。テニミュキャストを多数起用し、イケメン若手俳優が赤ちゃん役を熱演するという一見字面がヤバいけど非常に楽しい神舞台。テーマソングの中毒性がえぐい。

*3:ゲーム「SHOW BY ROCK!!」内ユニット「トライクロニカ」のファンの総称・夢銀河ツーリストの略。「トライクロニカ」はシュウ☆ゾー率いる3人組バンド。

*4:「シンガンクリムゾンズ」のファンの総称

*5:蒼紅=戦国BASARAのキャラクター、伊達政宗(蒼)と真田幸村(紅)。舞台版の初代伊達政宗役・久保田悠来さんと二代目真田幸村役・細貝圭さんは有明コロシアムにて行われたイベント「武将祭2013」を以て卒業。

映画「サマーソング」感想

午後からの現場と同じ会場で初日舞台挨拶をやるとのことで、ノリで入ってきました。キラキラなイケメンの波動を感じたかった@シネマート新宿

吉沢亮くんのおたくがみんな若いので、身内と待機列に並びながら、普段のファン層とのギャップがやばくてヘロヘロになった。推しのファンは年齢層が高い。



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吉沢亮くん初主演作。前情報を一切調べていなかったので、当日まで舞台挨拶登壇者も出演者も誰がいるのか全く把握してないまま観ました。よくよくポスターを見たら、目立つところに馬場良馬さんと和田琢磨さんを発見。


一昔前によく製作されていた、テニミュ1stキャスト大集合映画(「ローカルボーイズ」とか)に少し雰囲気が似てる。撮影予算はロカボより高そう。トラウマ持ちの主人公、男同士の友情、ゆるい日常と切なさと心強さと。

ローカルボーイズ! [DVD]

ローカルボーイズ! [DVD]

  • 出版社/メーカー: ティーエムシー
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: DVD



以下ネタバレあり感想。


市原健一(イッチー)は憧れの父の不慮の事故により大好きなサーフィンをやめてしまい、それからは親友達と彼女探しをしたり、アイドルの竹原あいこの追っかけをする日々を送っていた。

そんなある日、親友のまこっちゃんとバンズが海に行こうとイッチーを誘う。

海に行く事に抵抗があったイッチーだったが、海の家で働いてる友人のたけしとひろきに会うために渋々海に向かう事に。

その道中で若い女の子のつぐみとえみこと出会った3人だったが、この2人の女性にお金をスラれてしまう。

海の家でたけしとひろきに再会するも、お金をスッたつぐみとえみこまでもと再会してしまう。

果たしてイッチーは再びサーフィンを再開するのか?そして友人やつぐみ達との関係はどうなってしまうのか?


非常に起承転結が素早いストーリーが特徴の本作、冒頭約10分程で主人公(お亮)がサーフィンへのトラウマを持っていると発覚→親友2人(浅香くん・燈くん)「俺らが一肌脱いで、トラウマ克服させようぜ!→彼女作ろうぜ!(口実)→海に向かうぜ!ここまでおそらく20分くらい?多少の違和感や不自然さも、サクサク進んでいくストーリーの前では塵に等しい。



23歳の親友三人組、イッチー(吉沢亮)・まこっちゃん(浅香航大)・バンズ(赤澤燈)。彼らは将来への漠然とした不安を抱えつつ、それぞれ惰性で日々を過ごしていた。そんな中、イッチーのトラウマ克服のために、まこっちゃんとバンズはある計画を立てる。海に行くのだ。

イッチーにもう一度、サーフィンをしてほしい。

彼らは全員童貞。

彼女を、ピチピチビキニギャルをゲットし、童貞を卒業しよう!
童貞卒業を口実に、イッチーを焚き付ける二人。

溜まり場となっているイッチーのアパートで、グラビアアイドルとのエッチな妄想を繰り広げてはゲスい話で大騒ぎ。
勇んで海へと向かうところまではいいものの、女性免疫の少なさゆえに行きずりの女にころっと騙され、痛い目を見てしまう。

イッチーのアパートで三人組がギャーギャー騒ぐシーンでは、撮影中に騒ぎすぎてロケ地のアパートの大家さんに怒られたとのこと。納得。

そんな彼らの物語に絡んでくるワケアリ女性陣。
窃盗癖がやめられない女・つぐみ(筧美和子)とその友人えみこ(天野麻菜)。
売れないグラビアアイドル・竹原あいこ(丸高愛実)。

そして、三人組の友人たち、たけし(和田琢磨)とひろき(馬場良馬)。




自分がイッチーたちとドンピシャ同世代なので、自身の境遇と重ねてしまう部分が多かった。

23ってなんだか中途半端ですよね。大学までのなが~~~~いモラトリアムを抜け出した先に待っているのは、社会人としてはひよっこなのに、年齢的には充分な「大人」。とても宙ぶらりん。
仮にイッチーたちが大卒だとして、社会に出て2年目。右も左もわからずとりあえずがむしゃらに働いて1年。2年目ともなると慣れて手抜きを覚え、高かったはずのモチベーションは次第に薄れていく。

大多数の人々は、23歳にもなれば自分は結局、何者にもなれない「凡人」側の人間なのだと諦めがつく。幼い頃描いたような「大人」になれている人間のほうが稀だ。
生活のために仕事をして、お金を稼いで、それなりに道を踏みはずさないよう生きる。そんな中、同級生や友人から結婚の知らせがあったりして、自分はパートナーがいなくて焦ったり、でもまだ自由でいたくて、なんかそういうの。

だからこそ、ひとつ特別なものだったり、諦めきれない夢を持っているイッチーに、まこっちゃんやバンズたちが期待をかけてしまう気持ちは痛いほどに理解できた。
殻に閉じ籠って諦めた顔をしているイッチーに、歯がゆさを感じてしまうのだ。


たとえば、まこっちゃんは実家の自動車工場を継ぐのだという。彼が昔抱いていた「夢」は劇中で言及されなかったけど、きっとなにかを諦めて、もしくは惰性で選んだ未来だってことが示唆されていた。敷かれたレールを進んでいくことにきっと疑問も抱いたのだろう、だけど。何者にもなれないからこそ、これからも生活をしていくために妥協する。
どどどど童貞ちゃうわ!」って言い出しそうなアホで気のいいまこっちゃんとは裏腹に、ちゃんとこれからのことを考えて生きようとしてるまこっちゃんに感情移入して苦しかった。
※そんなヘビーな映画ではないので安心してお楽しみください


たけしとひろきは、しがらみに囚われずに好きな仕事を選び、目先の楽しみを優先して生きている。今が楽しいほうがいいじゃん!って言い切れる人は強い。



まこっちゃんやバンズたちの中でイッチーはきっとヒーローで、普通に憧れて勝手に期待をかけて、挫折をしたら皆で励ます。でも、トラウマを克服したイッチーは彼らからの期待に潰されない。

「みんなイッチーのことが好きなんだよ」って台詞があるけど、それである程度通じてしまう友人関係って、綺麗事かもしれないけど素敵だなあと思った。世界がやさしい~~~~。程度の大小はあれど、友人同士で憧れを抱き合うことって普通にある。心の片隅で羨ましく思うことだってある。
「サマーソング」では、そんなちょっと湿った友情を、とても軽やかに描いている。



イッチーはじめ3人組の愛すべきおバカ感は見ていて元気になるし、こんなにお顔がいいのに童貞って設定自体破綻するのでは?って思ったけど、女性の扱いやキョドり感も、男3人でいたほうが楽しいし!?みたいな強がりも、グラサンかけてふざけてドヤってるシーンも、海のオーラ(?)を感じるために海に向かってばんざーい!してるシーンも、基本的に偏差値足りてなくて大笑いした。
男って馬鹿ねって呆れてしまうような可愛さ。

浅香くん、キモータを演じるのがすごいうまくて、不憫でかわいかった。みんなが集まってるとこで一人だけおかしいテンションになって周りがしらけるの、おたくあるある。三人組でいるときのボケの応酬もそうだけど、ちょっとした掛け合いが自然で楽しい。

肉食の女性陣に迫られて股間を撫でられキョドりまくるお亮とともるんは一見の価値あり。




舞台挨拶ではマスコミ用のフォトセッションタイムが設けられていて、客席後方のムービーカメラに向かって登壇者が手を振るのだけど、お亮の手の振り方がミーアキャットみたいで可愛かった。顔の横でぺぺぺぺぺぺぺぺって小刻みに振るの。ずるい。


「青春を謳歌できなかった人。周りの環境がどんどん変わって、自分だけが置いてけぼりな気がする人。あと一歩が踏み出せない人。そんな人たちの背中を押す力の1つになれればうれしいかなと思います。男ってどこまでもバカで愛おしい生き物だなと、感じてもらえる作品です。」
吉沢亮が映画初主演 中前勇児監督『サマーソング』9・17公開 | ORICON NEWS:引用)


たとえば日本中がパニックに陥ったりとか、隕石が落ちたり、大事件が起こるような作品ではない。

これからも彼らのゆるい日常は続いてゆくのだろうけど、今回の出来事をきっかけに、ちょっとだけ世界はきらきらして映る。彼らの未来が少しだけ想像できて、なんだか自分まで前向きになれた。


お亮、ウェットスーツが異様に似合う。本格サーフィン映画って銘打ってあったけど、主人公がサーフィンするのはラストシーンだけでした。何がサマーソングだったのかはわかりません。







(2019/8/13加筆修正・追記)

本作のDVDが未だ発売されていないことを知り驚愕しています。
推しの作品が上映イベントまでやった上お蔵入りするの、わたしも経験がありますが*1切ないですよね………。

*1:映画「ハピネスインリトルプレイス」(2012)

舞台「新・幕末純情伝」感想



徳川260年の泰平の世が、今まさに崩壊せんとしている文久3年。
武士になりたい一身で、京都への道を急ぐ一群の男達がいる。
近藤勇率いる、新撰組
その隊士の中に「女」がいた。沖田総司
小さい頃から男として育てられ、
ただひたすら剣の修行を強いられてきた孤独な女――。
風雲急を告げる、時は幕末。
勤皇、佐幕が入り乱れる動乱の京の街で、
総司は愛する土方歳三のため、
一人、また一人と勤皇の志士たちを斬り続ける。
そして、そんな総司の前に、一人の男が立ちふさがった。
その男こそ、日本に新しい時代をもたらす男。土佐の龍、坂本龍馬――。
裏切りと憎悪渦巻く暗黒の時代、
総司と土方、そして龍馬の胸を焦がす、熱い恋の行方とは?
そして、勝海舟桂小五郎・・・ 幕末の若き志士たちが夢見た、
新しい時代の夜明けとは?

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全33公演お疲れ様でした!

おそろしく近かった。距離的にも、なんというか精神的にも。

役者さんたちのあらゆる体液が舞台上に散り、降り注ぐ弾幕のごとく台詞が飛び交う。息つくまもなく展開していく掛け合いはまるで銃撃戦のようで、舞台上の彼らはフィクションの世界を生きているはずなのに、どこまでもリアルに届いた。

紀伊國屋ホールに入った瞬間、ひりつくような緊張感が充満していた。ものすごい熱量に圧倒され続け、ハイレベルな芝居の応酬に釘付けになった二時間でした。

「新・幕末~」は初見だったのですが、沖田総司役の松井玲奈ちゃん、坂本龍馬役の石田明さんがめちゃくちゃハマっていたので、またこの二人のタッグを観てみたい。






以下キャスト別雑感。
盛大にネタバレしてます。




沖田総司(演・松井玲奈)

メインビジュアルですでにハマり役の予感がビンビンしていた玲奈ちゃんの沖田総司、本当にハマり役だと思った。
男所帯に華奢で目元の涼しい美人。土方さんが嫉妬に狂ってしまうのもわかる。

海舟に始まり、土方・桂・坂本と、彼女を翻弄する男たちと対等に渡り合う胆力。石田さんを始め、舞台慣れしている役者陣にこれでもかと食らいついていく玲奈ちゃん。彼女の熱い気概を感じた。

常に気を張って男たちの世界で生きている「沖田総司」と、舞台上の玲奈ちゃんがリンクして、真剣勝負の緊張感が作り出されていたのかも。
北出菜々さんの曲をバックにバッサバッサと男たちを斬り捨てていく総司はとてつもなくヒロイックで綺麗。

ふとした仕草が凛としていて品があり、終盤に明かされる総司の背景に説得力があった。
龍馬とのシーンで胡座掻いてるとこ、めちゃくちゃ好きです。育ちのいいお嬢さんがわざと不良ぶってる(なりきれてない)ような感じ。

総司を取り巻く男たちの印象が機関銃なら、彼女の印象は舞台の真ん中に凛と突き刺さっていた妖刀菊一文字だと思う。刺すような視線の気高さと、まっすぐ通った芯を持つ沖田総司

前半の総司はひたすらに無垢でまっさら。海舟の元で男として育てられ、齟齬を感じながらもそれに従い、血豆だらけの手で剣を握る幼少期。
家を飛び出し、新撰組に身を寄せるも、彼らに促されるまま、人斬りとして名をあげていく。

総司は物事の分別がついていない、自我が赤ちゃん同然の少女。彼女は自らを導く人々へ依存し、その姿をしなやかに変える。それは男の姿だったり、人斬りの姿だったりする。

そんな中、総司は龍馬と出会い、女としての自我の目覚めを迎える。無垢なまま身体だけ女になってしまった彼女に、生まれて初めての、身を焦がすような恋が訪れた。


序盤の、男として振舞いながらも時折見せる乙女な素振りが絶妙に可愛い。
キャンキャン吠えるチワワみたいに龍馬へと突っかかっていくシーン、めちゃくちゃ萌えました。これ!少女漫画で履修したやつ!

後半、心の拠り所であった新撰組から手酷く裏切られ、諦観とも失望ともつかない表情で決別するシーンが印象深い。

新撰組のみんなだけが労咳持ちの自分に優しくしてくれたのだ」とサブリミナルのように台詞が入るだけに、総司の悲痛さが伝わってきた。

運命に翻弄され、傷つきながらも強かに生き抜いた松井沖田の姿は美しく逞しい。
ああ~~~龍馬と土佐の月見て仮初めでも幸せになってほしかったんじゃあ~~~~~~



坂本龍馬(演・石田明)

ノンスタ石田さんのお芝居、初見だったのですが今回目の当たりにして圧倒されました。流石の滑舌!台詞量が出演者の中でもダントツで、発した言葉のほとんどが長台詞だった気がする。
次々紡がれていく膨大な台詞が、収まり良く耳に馴染んでいく。期待を何倍も上回る巧みさで、最高の坂本龍馬像を作り上げていた。

♪コーゴーエソーナキセーーツーニキーミハーーーアーイーヲドーコーユーノーーーー?の登場シーンが最高にお気に入り!以蔵のエアギターも含めて腹抱えて笑った。

土佐弁の似合う男ってずるい。リアコになりそうな気持ちを必死に抑えながら観ていた。
チャラくて変態で、コミカルな坂本龍馬なのだけど、その実誰よりも真剣に世の中のことを考えている。顔面から体液という体液を撒き散らし、血走る目で必死に訴える姿が最高にかっこよかった。気取っていなくて、血の通った坂本龍馬。台詞が淀みなく流れすぎて、どこまでアドリブでどこまで脚本なのか判別がつかなかった。

「一発やらせろ~~!」が高らかで卑猥さがなく、クネクネと総司に迫る様がなんだかやけにデジャブると思っていたら、「シティーハンター」の冴羽獠でした。

玲奈ちゃんの造形が作り物じみているので、石田さんの等身大なリアルさとのバランスが絶妙だった。石田さんの龍馬もかなりハマり役でした。
多才な方なんだなあ。石田さんの他の芝居も観てみたくなった!


土方歳三(演・細貝圭)

岡村舞台常連の圭ちゃん。良い人からのクズ男がハマりすぎる。前半後半の落差が凄い。

岡村さんが「男の嫉妬」がテーマのひとつだとツイートしていたけど、嫉妬というより卑屈さや劣等感を感じた。土方・海舟
・桂と三者三様、出自や身体機能に欠損を抱えている。

この作品に登場する男性全員が地雷のようなもので、それを目に見える形でわかりやすく爆発させたのは土方さんだった。
「総司の一番も二番も三番も俺じゃないと駄目だ!」と年下の女の子にすがりつく姿が情けない。

でもこういう男に絆されてしまう女の子、絶対にいるよね。情けなくて卑屈で打算的で、愚かな男なのである。

ディズニーランドに週5で連れてってくれるカレシ、サイコーだと思うけど総司的にはだめなの?!

嫉妬や出自に起因する自信のなさで卑屈になっていく土方さん。
結核持ちの総司に対して放つ、「キスなんかできるかよ!」のシーンの表情が少しのきっかけで崩れてしまいそうで危うくて、後悔や憎悪、嫉妬や慕情がぐちゃぐちゃに入り交じって、なんとも言えなくて好き、だけど切ない。
わたしは土方さんと総司にだって幸せになってほしかったよ……。

新撰組は、新時代に生き延びて出世することを何よりの悲願としている。「総司を愛している」という土方さんの言葉も、紛れもなく本心だと信じたい。愛する総司と自らの悲願を天秤にかけ、彼が葛藤の末に選んだのは悲願の成就。

総司が一度は夢見た土方さんとの終生を、これでもかと突き放して壊していく。手段がドクズ極まりないので悪役じみているけれど、勧善懲悪の物語ではないからこそ、新撰組にも正義があり、彼らが生き延びたいと思うのもまた必然なので辛かった。

若手俳優、みんな大きいから忘れてたけど、玲奈ちゃんと向き合うと圭ちゃんやたら大きく見えてびっくりした。
ココアネタもうよくない?玲奈ちゃん枠のチケだったからか周り玲奈オタばっかりだったんだけど、ネタが通じてなくて一生ゲラってて辛かった。


桂小五郎(演・味方良介)

味方さんの桂は錯乱一歩手前の狂気を、理性で抑えて常人ぶっている感じ。
桂さん、全編に渡っておいしい役だとおもう。熱演。

岡村さん演出だから絶対どっかでテニミュネタぶっこんで来ると思ってたよ。石田さんが素でフォロー入れてくれるのめちゃくちゃ笑った。周囲の玲奈ちゃんのオタクは通じてなくて真顔であった。正直同情した。


勝海舟(演・荒井敦史)

新・幕末に荒井くん出てるのノーチェックで、あれ?!出てる?!?!ってなった登場シーン。

舞台上での存在感がピカイチ。「幕末純情伝」勝海舟役・史上最年少とは思えないほど貫禄の演技。
声のトーンが他の出演者と被らず、安定感があった。掛け合いや立ち回りに色気があり、表情の端々に狂気を覗かせる。

苛烈なキャラクターではないのに、目の奥がギラギラと燻っていた。彼が舞台に立つと、雰囲気がぐっと引き締まるのを感じた。

海舟の劣等感は総司を狂わせ、また自らも総司に狂わされていく、宿命の兄妹。

ホモの岩倉具視に尻をロックオンされるわ、坂本からも「岩倉に尻を差し出してくれ!」って懇願されるわで勝さん可哀想すぎる。無血開城は成功しても勝さんのケツは出血不可避。


岡田以蔵(演・早乙女友貴)

ずば抜けて身のこなしが美しかった。殺陣レベチすぎるでしょ?!と思ったけど人斬り役だったなあ。納得。9月のつむ鴨も楽しみです。
龍馬との名コンビ、名サポーター。WHITE BREATHのノリノリエアギター本当に大好き!

台詞回しが独特でハラハラしたけど、後半ぞっとするほどかっちりハマる。
物語上の立ち位置も独特だった。総司と関係する男性陣の中で、唯一見返りを求めず無償の愛を彼女に与え続ける以蔵。以蔵は自らの悲願を見届け、満足げに息絶える。切なすぎる。





新撰組vs総司の対峙シーンの久保田創さんの迫力が鬼のようだった。自らが人斬りとして祀り上げた少女を踏み台にし、生き延びようとする愚かさ。生きることへの強い執念。飛び散る唾と表情に圧倒されました。


始まる前からなにかと話題になっていたけれど、心底観てよかったと思える作品に出会えた。玲奈ちゃんの総司と石田さんの龍馬はきっと伝説になる。

同じ座組で数年後に再演してほしい。
そしてまたこの緊張感と衝撃を味わいたい!

朗読劇「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」(青木玄徳×遠藤久美子)感想

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「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」
青木玄徳さん&遠藤久美子さん)
観劇してきました。

ラヴ・レターズ〜2016 The Climax Special〜

「ラヴ・レターズ」の本拠地PARCO劇場で上演されるということで、かなり楽しみにしていた公演。


一幕


メリッサ(演・遠藤久美子)

遠藤さん、第一声からメリッサだった!
高めの声で綴られていく少女期のやりとり。


アンディーから届いた手紙を読むメリッサ。

つまんない、うんざり!しーらない!

彼女の心の声が聞こえてきそう!

無邪気で天真爛漫で、彼女いわく「性悪女」なのだろうけど愛嬌たっぷりのメリッサ。恋多き早熟な女の子。
少女から女性へと花開いていく瞬間というのが、これでもかと伝わってくる熱量。蝶のようにひらひらとアンディーをかわし、奔放に生きる彼女の姿が目に焼き付いている。

役柄上どうしても嫌な女になりかねないのに、どこまでも「一人の人間」として憎めない、魅力溢れるメリッサがいた。



アンディー(演・青木玄徳)

この朗読劇の第一声は、アンディーが送った一通の手紙から始まる。

生まれて初めてメリッサに宛てた手紙の、書き慣れない、型にはまったぎこちない文章。
青木さんが舌ったらずに表現するそれは、何度かやり取りを交わすうちに声音や表現が彼らしく形づくられていく。次第に生き生きと綴られていく青い感情。

甘酸っぱいやりとりが微笑ましい思春期の二人。

青木さん自身が評するように、確かに少し頼りなさげなアンディーだったと思う。

メリッサからの返信に舞い上がっては沈み、失敗したらシュンと落ち込むアンディー。育ちのいいお坊っちゃんらしく、世間知らずで聞き分けの良いこども。

寄宿舎生活で培ったあれこれをメリッサに手紙で報告するときの得意気な口調がかわいい。メリッサが呆れていることに気づかない、女心のわからない少年。

某舞台挨拶以来、青木さんのくるぶしばっかり見てしまうのだけど、裾が少しだけ短くてばっちりくるぶしがのぞいていた。最高!

⌈きょうだい以上には思えないからステディにはなれないのよ」とメリッサに一蹴されてしまうアンディーだけど、弟っぽさに溢れているのでそりゃなれないよな、と思ってしまった。穏やかで優しい青木さんのアンディー。

感情の渦がどっと押し寄せるような熱量の遠藤メリッサとは対照的に、青木アンディーは穏やかなリズムを保っていたので、絶妙なバランスのカップルだったと思う。

青木さんの声のトーンが一定して聞きやすく、台詞がすとんと降りてきて心地よかった。




幼いころからずっと続けてきた手紙のやりとりの中でなら、二人は本音で会話が出来る。

⌈手紙に自分を乗せて、相手へ自分の全部を送る」と言うアンディー。
⌈そんな紙切れよりも生身のアンディーに会いたい」と主張するメリッサ。それなのに、生身のアンディーにいざ会ってみても、肩越しに手紙の中の彼を探してしまうのだと言う。

二人の間に生じたわずかなねじれは、成長するほど深刻なものへと発展していく。



二幕



二幕が始まり、赤い口紅をさした遠藤さんが登場したとき思わず息を飲んだ。

少女から円熟した大人の女性へ。

アンディーから届いたクリスマスや年始の挨拶に、気にくわないような、興味もないような、妬ましいような表情を覗かせながら目を通す。

アンディーは家庭を持ち、法曹界デビューを経て上院議員まで上り詰めていた。一方でメリッサも結婚し、画家として評価され、華々しく活躍していた。しかし一転、ドラッグやアルコールに溺れ、夫や子供たちとは泥沼離婚。メリッサは転落人生の真っ只中にいた。

アンディーから届く手紙もメリッサ個人へと宛てた特別感は薄れ、やがて形式ばったものが混じるようになり怒るメリッサ。


くるくるとめまぐるしく変わる表情が魅力的だった一幕のメリッサとはうって変わり、女の情念が伝わる二幕。

ときにお酒の入ったグラスを持って泥酔状態で、ときにドラッグで躁鬱になりながら、彼女はアンディーへとペンを走らせる。


普通の椅子に座っているのに、安楽椅子に腰かけているような錯覚に陥るくらい、彼女の世界に引き込まれた。年齢を重ねてやつれ、精神を病んでしまったメリッサなのに、とても美しいと思った。



晩年、二人は始めて結ばれる。50年越しに初恋が成就し、秘密の逢瀬を重ねる二人。アンディーへの依存が深まるメリッサと、のらりくらりとかわしているようでいて彼女を振りほどけないアンディー。

演者によって抱くアンディー像がまったく異なることを個人的にいちばん実感したのがこの場面でした。


いよいよメリッサとアンディーの関係が世間へと明るみになり、記者に詰め寄られるメリッサ。
アンディーを頼るも、何を言っても「無視」と言い、逃げ回るアンディー。

青木アンディーは遠藤メリッサに対して強気になれない雰囲気が滲み出ていて、メリッサと一緒に困惑しながら、なんとか体裁を繕おうとオロオロ狼狽える感じが人間臭くてとても良かった。情に訴える余地がありそうなアンディー。

このやりとりを観ていて、久保田アンディーは「無視」の声音がぴしゃりと冷たくて、こんなときばっかりはね除けて本当にずるい男だな~!って沸き散らかしたのを思い出した。

不倫騒動以来、関係を絶ったアンディーとメリッサ。60を過ぎ、メリッサは故郷へと戻り療養生活へ。それを知ったアンディーはメリッサの母親を通じて会いに行くことを彼女へ告げる。しかしアンディーを拒むメリッサ。

メリッサから最後の手紙がアンディーに届き、彼は最後の手紙を綴る。


泣きじゃくる子供のようなラストシーンのモノローグ。
顔を合わせることはなくても、手紙によって寄り添い、彼女を長年支えてきた穏やかな優しさ。

公演を全体通しても、アンディーの言葉はメリッサへの柔らかな愛に満ちていて、「愛を込めて」という台詞にたしかな重みがあった。半身というよりも姉を亡くした感覚に近いような気がする(なにしろ弟みがすごいので………)


このとき、手紙に目を落としていたメリッサが劇中で初めて顔を上げ、アンディーを真正面から見据える。アンディーからの言葉を受け、照れたような、慈しむような声音で応えるメリッサに涙が止まらなくなってしまった。


カーテンコール



終演後、ライトが灯り、顔を上げた二人の表情が対照的でした。演じきって晴れやかな表情の遠藤さんに対し、かなり消耗していた青木さん。

カーテンコールの恒例(?)でアンディー役のキャストがメリッサ役をエスコートして登場するのだけど、青木さんが遠藤さんと腕を組んだまま舞台上に置いてあった水を一気飲みしたので客席がざわついたし、青木さんのあまりの狼狽ぶりに遠藤さんも笑ってた。



2015年、2016年と2パターンのカップルを観て、演者によって役の解釈は千差万別だと改めて感じた「ラブ・レターズ」。演じる人の性質や演技の切り口によって、同じ脚本から全く違う人物像に見えるのも興味深い。

正直に言うと青木さんの晩年アンディーの解釈が斬新でちょっと面白かった。青木さんの思う還暦、老けすぎでは


久保田さんの演じたアンディーの先入観があったので、一幕は思春期真っ只中のやんちゃ小僧が出てくるかな?と思ったら、青木さんのアンディーは弟気質の穏やかな優等生で本当に驚いた。
1月にやっていた松田凌くん&内田理央ちゃんのカップルも観てみたかったなあ。


PARCO劇場は閉館となってしまうけれど、「ラヴ・レターズ」はずっと続いていってほしい。


このまま500公演を迎えられますよう、愛を込めて。


500回目のアニバーサリー公演では役所さんと大竹しのぶさんの初演カップルが観てみたいなあ、なんて。


親愛なる、から始まる手紙はいいぞ。

朗読劇「ラヴ・レターズ 2015 WINTER SPECIAL」(久保田悠来×映美くらら)感想

「ラヴ・レターズ~2016 The Climax Special~」(青木玄徳さん&遠藤久美子さん)の観劇中、昨年観た久保田悠来さん&映美くららさん版のフラッシュバックが止まらなかったので、記憶の整理をかねて記事を分けることにしました。


►青木さん×遠藤さん版の感想


※この記事は「ラヴ・レターズ 2015 WINTER SPECIAL」についての備忘録です※






■STORY

幼馴染のアンディーとメリッサ。
自由奔放で感覚人間のメリッサ。
真面目でいつも何かを書いているアンディー。
思春期を迎えて彼らは一番近い異性としてお互い十分相手を意識しはじめる。
しかし、ついに決定的に結ばれるチャンスを迎えた夜
二人は友達以上にはなれない自分たちを発見する。
大学を出た二人はそれぞれ結婚し、まったく別の道を歩き始める。
海軍を経て法曹界に入り上院議員まで登りつめるアンディー。
アートの道に進んだものの行き詰まって精神的破綻をきたすメリッサ。
久しぶりに再会した二人は別々に過ごした日々を取り戻すかのように、
お互いを激しく求め合う。
しかし結ばれるには、時は余りにも遅すぎた。


 2015年初冬、ブルーシアターが現在の「Zeppブルーシアター六本木」へと改称し、そのオープニング公演のひとつがこの「ラヴ・レターズ」だった。

ライブ・エンタテインメント8社が共同運営!「Zeppブルーシアター六本木」来年1月オープン。 | エンタステージ

もともとはPARCO劇場で長年上演されている作品で、わたしが観劇したのはどうやら443公演目に当たるらしく、*1少し身構えたのを覚えている。



広いステージの中央に丸くて小さなテーブルがあり、それを挟んで椅子が二つ。
とてもシンプルな舞台装置。アンディーとメリッサを演じる二人はそこに腰掛け、彼らの手紙のやり取りをわたしたちに明かしてくれる。

演者の声、表情、台本のページを繰る音だけで表現される、二人の一生を通したやりとり。少年期からやがて青年へ、そして晩年へ。
二人のやりとりは一方が欠けてしまうまで続いていく。


静謐さすら感じる空気の中、ただただ圧倒された。
あるときは微笑ましく、あるときは激情的に、声と表情のみで紡がれていく物語。


そこそこ長いおたく人生の中でも「他人の一生」を演じる俳優さん・女優さんを見る機会というのはそう多くないので、とても貴重な体験になった。




久保田さん演じるアンディーは、ぶっきらぼうでまっすぐで、幼馴染みのメリッサに淡い初恋を抱いている。彼女が他の男の子と親しくしていたことを知るとむくれてしまうような可愛らしい少年。
真面目だけど、どこかやんちゃで年相応。彼の持ちうる精一杯で、メリッサに「愛を込めて」手紙を書いていた少年期のアンディー。


一方、映美さん演じるメリッサは、奔放で勝ち気で気まぐれで、アンディーよりずうっと上手。アンディーを軽くあしらい、“ワルイコト”に憧れる年頃の女の子。

やがて二人は成長し、すれ違い、それぞれ別のパートナーと結ばれる。中盤はお互いによる幸せ自慢と見栄の張り合いが展開される。


出世を経て分別のついた大人となってゆくアンディー。保身からメリッサを避け、体裁ばかりを気にかける。一方、アートの世界で成功を収めたものの、ドラッグやアルコールに溺れ、精神的に壊れてしまうメリッサ。晩年はアンディーに依存する。

結ばれたと思えばすれ違い、それを重ねてきた二人の一生。そんな彼らの関係は、メリッサの死によって幕引きを迎える。

メリッサの訃報を受けたアンディーは、最後の「ラヴ・レター」をしたためる。二人で紡いできたやり取りが事切れる瞬間、綴られるアンディーのモノローグ。
メリッサの命の灯火が消えゆくさまと重なるように、彼らを照らしていたスポットライトが静かにフェードアウトする。

アンディーは半身であるメリッサを喪った慟哭とともに、メリッサへの積年の想いを吐露する。声を詰まらせ、それを繕いながら、後悔に涙するアンディー。
わたしは大人の男の人が泣くのを見たことがない。だけど、こんなふうに感情を押し殺し、繕いながら泣くのだろうと思った。

メリッサとの手紙のやりとりが、アンディーの行く先に灯る光であったことをわたしたちは知る。


「手紙は自分自身なのだ」としばしば口にしていたアンディー。それなら、届けるあてを失った「手紙」は、いったいどこへ行き着くのだろう。




終演後に演出家の青井陽治さんを交えたアフタートークがあったのだけど、アンディーの一生を演じきって喉を枯らしてしまった久保田さんが印象的でした。
いつも飄々としている人だから、そんな瞬間に立ち合えることが幸福だと思った。


前半はコミカルで、股間が肉離れ!」みたいな台詞を生き生きと演じていた動の芝居。後半、ぐっと低いトーンで大人になったことを感じさせる静の芝居。地位や体裁・プライドに縛られ、公私ともに成功していて傍目には幸せそうなのに、どこか閉塞感のある晩年。そして終盤のモノローグへ。幾重にも色を変えて展開される彼の芝居に引き込まれた。


久保田さんが演じたアンディーの一生を、きっとこの先も思い出すことだろう。


ハッピーエンドの幕引きではないけれど、心地のよい残響がしばらく残る作品でした。


お手紙を出そう!と書き出し始めると、書きたいことがたくさんありすぎてまとまらないので手紙は苦手なのだけど、どうしても「親愛なる」から始まる手紙を書きたくて、観劇後はなが~~~~い手紙を書いた思い出。

*1:初演カップルは役所広司さん・大竹しのぶさん