はきだめにつる

とりとめのないこと

舞台「新・幕末純情伝」観劇感想


徳川260年の泰平の世が、今まさに崩壊せんとしている文久3年。
武士になりたい一身で、京都への道を急ぐ一群の男達がいる。
近藤勇率いる、新撰組
その隊士の中に「女」がいた。沖田総司
小さい頃から男として育てられ、
ただひたすら剣の修行を強いられてきた孤独な女――。
風雲急を告げる、時は幕末。
勤皇、佐幕が入り乱れる動乱の京の街で、
総司は愛する土方歳三のため、
一人、また一人と勤皇の志士たちを斬り続ける。
そして、そんな総司の前に、一人の男が立ちふさがった。
その男こそ、日本に新しい時代をもたらす男。土佐の龍、坂本龍馬――。
裏切りと憎悪渦巻く暗黒の時代、
総司と土方、そして龍馬の胸を焦がす、熱い恋の行方とは?
そして、勝海舟桂小五郎・・・ 幕末の若き志士たちが夢見た、
新しい時代の夜明けとは?


全33公演の長丁場お疲れ様でした!
紀伊國屋ホール3公演め、玲奈ちゃんFCの友人にお誘いいただいて観劇してきました。

おそろしく近かった。距離的な意味でも、なんというか精神的にも。

役者さんたちのあらゆる体液が舞台上に散り、降り注ぐ弾幕のごとく台詞が飛び交う。
息つくまもなく展開していくハイテンポな掛け合いは銃撃戦のようで、板の上の彼らはフィクションの世界を生きているはずなのに、どこまでもリアルに響いた。
ガチンコ勝負の緊張感がホールいっぱいに満ちていて、役者さんたちの命が煌々と燃えている瞬間を、たしかに視た気がした。

ものすごい熱量に圧倒され続け、お芝居に釘付けの二時間でした。

新・幕末は初見だったのですが、沖田総司役の松井玲奈ちゃん、坂本龍馬役の石田明さんともに大ヒットハマり役だったので、また機会があれば同コンビのお芝居を観てみたい。


個人的に、ミーハーに沸いて半ば義務みたいにに通う演目と、初見で圧倒されて咀嚼するまでかなり時間がかかる演目があるのだけど、新・幕末は後者だった。数を詰めれば詰めるほどいい意味で消化不良を起こしてしまう気がして恐ろしい。
観劇から1ヶ月近く経とうとしている今ですら、うまく飲み込めていない。数々の台詞を反芻するとぐるぐる、正解のない解釈の沼で往生してしまう。

観劇後、情報過多気味にふらふらとバスに乗り、爛々として眠れないまま朝になり、一週間くらいは仕事をしながらふと思い出して苦しくなっていた。


際どいシモネタばかりが先行してメディアに取り上げられがちなのだけど、その実、長台詞の応酬のほとんどは、美しく耳馴染みのいい日本語ばかりだった。




以下キャスト別雑感。
盛大にネタバレしてます。





沖田総司(演・松井玲奈)

メインビジュアルですでにハマり役の予感がビンビンしていた玲奈ちゃんの沖田総司、ガチのハマり役だと思った。
男所帯に華奢で目元の涼しい美人。土方さんが嫉妬に狂ってしまうのもわかる。

海舟に始まり、土方・桂・坂本と、彼女を翻弄し、そして彼女によって狂わされていく男たちに、これでもかと食らいついていく。
絶対に負けるもんか、熱い気概を感じた。
女であることを隠し、つねに肩肘張って生きている「沖田総司」と、役者として板の上にいる玲奈ちゃんがリンクして、ガチンコ勝負の緊張感が作り出されていたのかも、と今となっては思う。
北出菜々さんの曲をバックにバッサバッサと男たちを斬り捨てていく総司はとてつもなくヒロイックで、泣きそうになってしまった。

ふとした仕草が凛としていて品があり、終盤に明かされる総司の背景に説得力があった。龍馬とのシーンで胡座掻いてるとこがめちゃくちゃ好きです。

総司を取り巻く男たちの印象が機関銃なら、彼女は舞台の真ん中に凛と突き刺さっていた妖刀菊一文字のようでした。刺すような視線の気高さと、まっすぐ通った芯を持つ沖田総司

前半の総司はひたすらにピュアである。海舟の元で男として育てられ、齟齬を感じながらもそれに従い、血豆だらけの手で剣を握る幼少期。
家を飛び出し、恩のある新撰組に促されるまま人斬りとして名をあげていく。
自我が赤ん坊並みの総司は良くも悪くもまっさらで、自らを導く人によってその姿を変えていく。

そんな中、総司は龍馬と出会い、女として、また一人の人間として、自我の目覚めを迎える。無垢なまま身体だけ女になってしまった彼女は、生まれて初めて身を焦がすような恋を知るのだ。


序盤の、男として振舞いながらも時たま見せる乙女な素振りが絶妙に可愛い。
キャンキャン吠えるチワワみたいに龍馬へと突っかかっていくシーンは正直めちゃくちゃ萌えた。めちゃくちゃ少女漫画してた!

後半、拠り所であった新撰組から裏切りを受け、諦観とも失望ともつかない表情で決別するシーンが印象深い。
新撰組のみんなだけが労咳持ちの自分に優しくしてくれたのだ、と場面場面でサブリミナルのように台詞が入るだけに、悲痛なシーンだった。

運命に翻弄され、傷つきながらも強かに生き抜いた松井沖田の姿はどうあがいても美しく逞しい。
ああ~~~龍馬と土佐の月見て仮初めでも幸せになってほしかったんじゃあ~~~~~~

一部メディアの話題にのぼった過激な台詞もたしかによく言わせたな~と思ったけれど、命を削ったやり取りの、クライマックスにその場面があるので、卑猥さも過激さも微塵も感じなかった。もったいないからみてほしい。



坂本龍馬(演・石田明)

ノンスタ石田さんのお芝居、初見だったのですが今回目の当たりにして圧倒されました。流石の滑舌!台詞量が出演者の中でもダントツで、発した言葉のほとんどが長台詞だった気がする。声量も素晴らしかった。
次々紡がれていく膨大な台詞が、収まり良く耳に馴染んでいく。期待を何倍も上回る巧みさで、最高の坂本龍馬像を作り上げていた。

♪コーゴーエソーナキセーーツーニキーミハーーーアーイーヲドーコーユーノーーーー?の登場シーンが最高にお気に入り!以蔵のエアギター含め腹抱えて笑った。

正直土佐弁に弱い感があるので、リアコになりそうな気持ちを必死に抑えながら観ていた。
チャラくて変態で、コミカルな坂本龍馬なのだけど、実は誰よりも真剣に世の中のことを考えている。顔面から体液という体液を撒き散らし、血走る目で必死に訴えかける姿が最高にかっこよかった。気取っていなくて、血の通った坂本龍馬。台詞が淀みなく流れすぎて、どこまでアドリブでどこまで脚本なのか判別がつかなかった。

「一発やらせろ~~!」が高らかで卑猥さがなく、クネクネと総司に迫る様がなにかに似てる、と思ったら、「シティーハンター」の冴羽獠だ!もっこりちゃん♡とか言い出さなくてよかった……。

玲奈ちゃんの造形が作り物じみているので、石田さんの等身大なリアルさとのバランスが絶妙だった。石田さんの龍馬もかなりハマり役でした。多才な方なんだなあ。石田さんの他のお芝居も観てみたくなった!



土方歳三(演・細貝圭)

岡村舞台常連の圭ちゃん。良い人からのクズ男がハマりすぎる。前半後半の落差が凄い。

岡村さんが「男の嫉妬」がテーマのひとつだとツイートしていたけど、嫉妬というよりも卑屈さや劣等感を感じた。土方・海舟
・桂と三者三様、出自や身体に劣等感を抱えている。どこか狂ってしまうきっかけの要素は持っていて、それを目に見えてわかりやすい形で爆発させたのは土方さんだった。総司の一番も二番も三番も俺じゃないと駄目だ、と年下の女の子にすがりつく姿が情けない。でもこういう男に絆されてしまう女の子、絶対にいるよね。情けなくて卑屈でソクバッキーで打算的で、ずるい男なのである。

ディズニー週5(?)で連れてくカレシ、サイコーだと思うけど総司的にはだめなの?!

嫉妬や出自に起因する自信のなさで卑屈になっていく土方さん。
「キスなんかできるかよ!」のシーンの表情が少しのきっかけで崩れてしまいそうで危うくて、後悔や憎悪、嫉妬や情がない交ぜになって、なんとも言えなくて好き、だけど切ない。
新撰組は、新時代に生き延びて出世することを何よりの悲願としている。総司を愛しているという土方さんの言葉は本心なのだと思いたい。愛する人と自らの出世欲や悲願を天秤にかけ、彼は葛藤の末に悲願達成を選んだ。総司が一度は夢見た土方さんとの終生を、ここぞとばかりに突き放して壊していく。手段がドクズ極まりないので悪役じみているけれど、勧善懲悪の物語ではないからこそ、新撰組にも正義があり、彼らが生き延びたいと思うのもまた必然なので辛かった。

若手俳優、みんな大きいから忘れてたけど、玲奈ちゃんと向き合うと圭ちゃんやたら大きく見えてびっくりした。
ココアネタもうよくない?玲奈ちゃん枠のチケだったからか周りれなオタばっかりだったけど、誰も笑ってなくて、通じてないんだな~~~とおもった。笑



桂小五郎(演・味方良介)

色々騒動あったけどみかてぃーの桂さんを観れてとてもよかった!錯乱一歩手前の狂気を理性で抑えて常人ぶっている感じ。桂さん、全編に渡っておいしい役だとおもう。鬼気迫る熱演だった。

「これにて遊びは終わりです、アデュー!」
石田さんがフォロー入れてくれるのめちゃくちゃ笑った。周囲の玲奈ちゃんのオタクは真顔であった。正直同情した。



勝海舟(演・荒井敦史)

新・幕末に荒井くん出てるのノーチェックで、あれ?!出てる?!?!ってなった登場時。
舞台上での存在感がピカイチ。勝海舟史上最年少とは思えないほど貫禄の演技。声のトーンがどの俳優さんとも被らず、安定感があった。掛け合いや立ち回りに色気があり、表情の端々に狂気を覗かせる。苛烈なキャラクターではないのに、目の奥がギラギラと燻っていた。彼が舞台に立つと、雰囲気がぐっと引き締まるのを感じた。

海舟の劣等感は総司を狂わせ、また自らも総司に狂わされていく、宿命の兄妹。

岩倉具視に尻を狙われ、坂本からも岩倉に尻を差し出してくれ!と懇願されるの可哀想すぎる。無ケツ開城は成功しても勝さんの尻は絶対に出血不可避。



岡田以蔵(演・早乙女友貴)

殺陣の淀みなさとキレがすごい!
ずば抜けて身のこなしが美しかった。殺陣レベチすぎるでしょ?!と思ったけど人斬り役だった。納得。9月のつむ鴨も楽しみです。
龍馬との名コンビ、名サポーター。WHITE BREATHのノリノリエアギター本当に大好き!
台詞回しが独特で、前半少しもどかしくなってしまったのだけれど、後半ぞっとするほどかっちりハマる。
物語上の立ち位置も独特だった。総司と関係する男性陣の中で、唯一見返りを求めず無償の愛を彼女に与え続ける以蔵。以蔵は自らの悲願を見届け、満足げに息絶える。切なすぎる。



特筆するならば新撰組vs総司の対峙シーンの久保田創さんの迫力が鬼のようだった。自らが人斬りとして祀り上げた少女を踏み台にし、生き延びようとする愚かさ。生きることへの強い執念。飛び散る唾と表情に圧倒されました。


始まる前からなにかと話題になっていた演目だったけれど、心底観てよかったと思える舞台だった。玲奈ちゃんの総司と石田さんの龍馬はきっと伝説になる。

同じ座組で数年後再演してほしい。そしてまたこの緊張感と衝撃を味わいたい!

朗読劇「ラヴ・レターズ」観劇感想(後編)

▲前編はこちら
朗読劇「ラヴ・レターズ」観劇感想(前編) - はきだめにつる



ようやく本題!


「ラヴ・レターズ 2016 The Climax Special」
(青木玄徳さん&遠藤久美子さん)
観劇してきました。

本拠地パルコ劇場で上演されるということで、かなり楽しみにしていた公演。


遠藤さんが第一声からメリッサだった!
高めの声で綴られていく少女時代のやりとり。


アンディーから届いた手紙を読むメリッサ。

こーんな文章つまんない、うんざり!しーらない!

そんな心の声が聞こえてきそう!無邪気で天真爛漫で、彼女いわく「性悪女」なのだろうけれどどこか愛嬌のあるメリッサ。恋多き早熟な女の子。
少女から女性へと花開いていく瞬間というのが、これでもかと伝わってくる熱量。蝶のようにひらひらひらひら、アンディーをかわし、奔放に生きる彼女の姿が目に焼き付いている。
役柄上どうしても嫌な女になりがちなのに、どこまでも「一人の人間」として憎めない、魅力的な女性像があった。




 相対する青木さんのアンディー。
この朗読劇の第一声は、アンディーが送った一通の手紙から始まる。
はじめてメリッサに宛てた手紙の、書き慣れない、型にはまったぎこちない文章。舌ったらずに表現されるそれは、何度かやり取りを交わすうちに声音や表現が彼らしく形づくられていく。次第に生き生きと綴られていく青い感情。甘酸っぱいやりとりが微笑ましい思春期のすがた。

青木さんが評するとおり、たしかにちょっと頼りなげなアンディーだったと思う。

 メリッサの返信に舞い上がっては沈み、失敗したらシュンと落ち込むアンディー。お育ちのいい坊っちゃんらしく、世間知らずで聞き分けの良いこども像。
寄宿舎生活で培ったあれこれをメリッサに手紙で報告するときの得意気な口調!かわいい!メリッサが呆れていることに気づかない、女心のわからない少年。

 某舞台挨拶以来、青木さんのくるぶしばっかり見てしまうのだけど、裾が少しだけ短くてばっちりくるぶしがのぞいていた。最高かよ。

きょうだい以上には思えないからステディにはなれないの、とメリッサに一蹴されてしまうアンディーなのだけど、弟みにあふれているのでそりゃなれないよな、と思ってしまった。穏やかで優しいアンディー像。

 感情の渦がどっと押し寄せるような熱量の遠藤メリッサとは対照的に、青木アンディーは穏やかなリズムを保っていたので、絶妙なバランスのカップルだったと思う。

青木さんの声のトーンが一定して聞きやすく、台詞がすとんと落ちてきて心地よかった。



「手紙は滅びゆくアートである」

この朗読劇中随一の素敵な台詞だと思う。

幼いころからずっと続けてきた手紙の中でなら、ふたりは本音で会話ができるのだ。

 手紙に自分を乗せて、相手へ自分の全部を送るのだと言うアンディー。そんな紙切れよりも生身のアンディーに会いたいのだ、と主張するメリッサ。それなのに、生身のアンディーにいざ会っていても肩越しに手紙の中の彼を探してしまうのだと言う。そうしたわずかなねじれは、二人が成長するほど深刻なものへと発展していく。




 二幕が始まって、唇に紅をさした遠藤さんが登場したとき思わず息を飲んだ。

少女から青年期を抜け出して、円熟した大人の女性へ。

アンディーから届いたクリスマスや年始の挨拶に、気にくわないような、興味もないような、妬ましいような表情を覗かせながら目を通す。

 アンディーは家庭を持ち、法曹界デビューを経て上院議員まで上り詰めていた。一方でメリッサも結婚し、画家として評価され、華々しく活躍していた。しかし一転、ドラッグやアルコールに溺れ、夫や子供たちとは泥沼離婚。メリッサは転落人生の真っ只中にいた。

アンディーから届く手紙もメリッサ個人へと宛てた特別な手紙ではなく、やがて形式ばったものが混じるようになり怒るメリッサ。


 くるくるとめまぐるしく変わる表情が魅力的だった一幕のメリッサとはうってかわって、女の情念が伝わる二幕。ときにお酒の入ったグラスを持って泥酔状態で、ときにドラッグで躁鬱になりながら、彼女はアンディーへとペンを走らせる。


 普通の椅子に座っているのに、安楽椅子に腰かけているような錯覚に陥るくらい、彼女の世界に引き込まれた。年齢を重ね、やつれ、精神を病んでしまったメリッサなのに、とても美しく印象的だった。


貴方は私のアンカーマンになってしまったのよ

 晩年、二人は始めて結ばれる。50年越しに初恋が成就し、秘密の逢瀬を重ねる二人。アンディーへの依存が深まるメリッサと、のらりくらりとかわしているようでそれを振りほどけないアンディー。

役者さんによって抱えるアンディー像がまったく異なることを個人的にいちばん実感したのがこの場面でした。



 いよいよメリッサとアンディーの関係が世間へと明るみになり、記者に詰め寄られるメリッサ。
どうしたら、とアンディーを頼るも、何を言っても「無視」と言い捨てるアンディー。

 青木アンディーはなんというか、遠藤メリッサに対して強く出られない感じが随所に滲み出ていて、メリッサと一緒に困惑しながら、なんとか体裁を繕おうとおろおろ狼狽えている人間くささがあったように思う。

このやりとりを観ていて、久保田アンディーは「無視」の声音がぴしゃりとして冷たくて、こんなときばっかりずるい男だな~!って沸き散らかしたのを思い出した。

 不倫騒動以来、関係を絶ったアンディーとメリッサ。60を過ぎ、メリッサは故郷へと戻り療養生活へ。それを知ったアンディーはメリッサの母親を通じて会いに行くことを彼女へ告げる。それを拒むメリッサ。

 メリッサからの最後の手紙がアンディーに届き、彼は最後の手紙を綴る。


 泣きじゃくる子供のような最後のモノローグ。
顔を合わせることはなくても、手紙によって寄り添い、そして彼女を支えてきた頼りなくて穏やかな優しさ。
公演を通して、アンディーの一言一言はメリッサへのやわらかな愛に満ちていて、「愛を込めて」という台詞に重みがあった。半身というよりは姉を亡くした感覚に近いような気がする(なにしろ弟みがすごいので………)


このとき、劇中で初めてメリッサが顔を上げ、アンディーを見据える。アンディーからの言葉を受けて、照れたような、慈しむような声音で応えるメリッサに涙が止まらなくなってしまった。


 終演後、ライトが再度灯り、顔を上げた二人の表情の違いがとても印象的でした。青木さん、かなり消耗していた。笑

それぞれ上手下手へはけていって、再登場したとき恒例?でアンディーのキャストさんがメリッサをエスコートするのだけど、青木さん、謎に狼狽えていて、2回目のカテコで水をぐいっと煽ってて笑ってしまった。遠藤さんも笑ってた。素でかわいいかよ。



 役者さんによってやっぱり役の解釈は千差万別で、どの解釈も私は好きです。役者さんの性質や演技の切り口によってぜんぜん違う人物像に見えるのも、リーディングドラマならではだと思いました。
正直に言うと青木さんの晩年アンディーの解釈が斬新すぎてちょっと面白かった。青木さんの思う還暦、老けすぎでは


 久保田アンディーを先にみていたので、前半一発目は思春期真っ只中のやんちゃ小僧が出てくるかな?と思ったら、青木アンディーは弟気質の穏やかな優等生で本当にびっくりしてしまった。1月あたりにやっていた松田凌くん&内田理央ちゃんのも聴いてみたかったな~~~という気持ち!


パルコ劇場は閉館となってしまうけれど、「ラヴ・レターズ」はまだまだ続いていってほしい。
好きなフレーズがたくさんあります。


このまま500公演を向かえられますよう、愛を込めて。


500公演目のアニバーサリーでは役所さんと大竹しのぶさんの初演カップルが観てみたいなあ、なんて。


親愛なる、から始まる手紙はいいぞ。

朗読劇「ラヴ・レターズ」観劇感想(前編)

今回観劇してきたのは「ラヴ・レターズ 2016 The Climax Special」(青木玄徳さん&遠藤久美子さん)なのですが、観劇中からずっと去年観に行った久保田悠来さん&映美くららさん版のフラッシュバックが止まらなかったので、記憶の整理をかねて記事を分けることにしました。


青木さん×遠藤さん版の感想はこちら


※この記事は「ラヴ・レターズ 2015 WINTER SPECIAL」についての備忘録です※






■STORY

幼馴染のアンディーとメリッサ。
自由奔放で感覚人間のメリッサ。
真面目でいつも何かを書いているアンディー。
思春期を迎えて彼らは一番近い異性としてお互い十分相手を意識しはじめる。
しかし、ついに決定的に結ばれるチャンスを迎えた夜
二人は友達以上にはなれない自分たちを発見する。
大学を出た二人はそれぞれ結婚し、まったく別の道を歩き始める。
海軍を経て法曹界に入り上院議員まで登りつめるアンディー。
アートの道に進んだものの行き詰まって精神的破綻をきたすメリッサ。
久しぶりに再会した二人は別々に過ごした日々を取り戻すかのように、
お互いを激しく求め合う。
しかし結ばれるには、時は余りにも遅すぎた。



 2015年初冬、「Zeppブルーシアター六本木」と改称したブルーシアターの、最初の公演がこのシリーズだったと思う。

もともとはパルコ劇場で長年続いている定番の作品で、私が観劇したのはどうやら443公演目(!)に当たるらしく、*1自分が生まれる前から続いている公演なので観に行くにあたってすこし緊張したのを覚えている。終わってすぐライブ会場に向かわなくてはならず、(武道館でライブがありました)やむなくライブTを着て観劇せざるをえなかったので会場に入る直前まで内心浮かないか不安だった。



 広いステージのまんなかに丸くて小さなテーブルがあり、それを挟んで椅子が二つ。とてもシンプルな舞台装置。アンディーとメリッサを演じる二人はそこに腰掛け、彼らの手紙のやり取りをわたしたちに明かしてくれる。

演者の声、表情、台本のページを繰る音だけで表現される、二人の一生を通したやりとり。少年時代からやがて青年へ、そして晩年へ。
二人のやりとりは一方が欠けてしまうまで続いていく。


静謐さすら感じる空気の中、ただただ圧倒された。
あるときは微笑ましく、あるときは激情的に、声と表情のみで紡がれていく物語。


ドラマや映画で他人を演じる役者さんを見ることははあっても、「誰かの一生」を演じる役者さんを見られる機会ってなかなか稀有だと思う。それが好きな役者さんなら尚更。

 ぶっきらぼうでまっすぐで、メリッサに淡い恋をしていた少年時代のアンディー。メリッサが他の男と親しくしていたことを知り、むくれてしまうかわいい少年。真面目だけどどこかやんちゃ気質で、そのときできる精一杯でメリッサに「愛を込めて」手紙を書いていた少年時代のすがた。

 奔放で勝ち気で気まぐれで、アンディーよりずっと上手のメリッサ。アンディーを軽くあしらい、『ワルイコト』がしてみたい年頃の女の子。

やがて二人は成長し、すれ違い、それぞれ別のパートナーと結ばれる。中盤は「幸せ合戦」ともいえる見栄の張り合い。

 分別のついた「大人」となってしまったアンディ。保身からメリッサを避け、体裁ばかりを気にかける。アートの世界で成功を収めたものの、ドラッグや酒に溺れ、精神的破綻をきたすメリッサ。晩年はアンディーに依存してしまう。

 すれ違って、結ばれて、またすれ違って。やがてメリッサは死を迎える。メリッサの死に際して、アンディーは最後の「ラヴ・レター」を彼女にしたためる。二人で紡いできたやり取りが幕引きとなる瞬間のモノローグ。静かにフェードアウトしていくライト。


 アンディーは半身を無くした慟哭とともに、メリッサへの長年の想いを吐露する。声を詰まらせ、それを繕いながら、後悔に涙するアンディー。
大人の男の人ってきっとこういうふうに泣くのだろう。60を過ぎたアンディーの、これまでの人生の厚みがふとほどけていく。メリッサとの手紙のやりとりが、彼のゆくさきに灯る光であったことをわたしたちは知る。

手紙は自分自身なのだ、としばしば口にしていたアンディー。
届けるあてを失った「手紙」は、いったいどこへ行き着くのだろう。





 終演後にアフタートークがあったのだけど、演じきって声を枯らしてしまった久保田さんが印象的でした。普段飄々としている久保田さんなのでなんだか珍しくて、そんな瞬間に立ち合えたことが幸福だった。


 前半はコミカルで、「股間が肉離れ!」みたいな台詞をイキイキ楽しそうに演じていた動のお芝居。後半、ぐっと低い声で大人になったことを感じさせる静のお芝居。地位や体裁・プライドに縛られ、公私ともに成功していて幸せそうなのに、どこか閉塞感のある晩年。そして終盤のモノローグへ。幾重にも色を変えて展開されるお芝居に引き込まれた。本当にアンディーの一生を演じきったんだなって感動と謎の実感があった。ハッピーエンドの幕引きではないけれど、心地のよい残響がしばらく残る作品だった。


 お手紙を出そう!と書き出し始めると書きたいことがたくさんありすぎて、何枚にもふくれてしまうので普段極力手紙を出さないようにしているのだけど、どうしても「親愛なる」から始まる手紙を渡したくて、その日ばかりは長ったらしい手紙を書いた思い出。次の日ちょうどよくイベントだったのでリアルタイムでプレ箱に突っ込んだよね。懐かしいです。



後編に続く。

*1:初演カップルは役所広司さん・大竹しのぶさん

映画「ライチ☆光クラブ」感想

本命さんの現場に頻繁に入るようになって3年、舞台でも映画でも何かしら見終わったあとにツイートボタンを叩きまくっていたのだけど、ついろぐ取り忘れて完全陥落した時期のツイートがみれなくてモチベガン下がりだったので始めてみた。
はてなブログっていう媒体への憧れはきっとメンヘラ神の「続・愛をください!」だと思う。使いこなせる気がしない。


本命さんの現場予定が6月までないので、社畜女のモチベーションを常に探している感がある。
予定をくれ~~~~。



さて本題。


映画「ライチ☆光クラブ」観てきました。

パラノイア★サーカス」観劇後、そのままソワレ当日券に並ぶか悩みに悩んでHUMAXにダッシュ。
劇場ロビーにゼラとジャイボの劇中衣装が展示されててテンション上がった!

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結論、映画版ライチはギャグ要素が強すぎた
※個人的感想です


ゼラ様の圧倒的厨二感とか、カノンとライチのイチャイチャ空間とか、初っぱなに入る光クラブ面々の紹介とか。これに関してはジャニーズコンサートの開演前カウントダウンをすごい思い出した。漫画を読み返したら確かに忠実だったのだけど、なんというか、ギャグに昇華しきれていなくて、結果お耽美要素まで足りなくなってしまったみたいな。




残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」は仕事の都合が合わなくて見送ったのだけど、2012年舞台版は何度もDVDを見返すほど好き。

舞台ライチ☆光クラブ [DVD]

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息の詰まりそうなほどの閉塞感や、赤くて不気味なライトに照らされた世界観を映画版にも期待していたのだけど、学校や開放的な海の描写のせいか、光クラブがなくてもなんかみんな人生イージーに生きていけそうな気がしてしまった。


脚本や設定に違和感を抱く一方で、舞台美術の素晴らしさに感動した。廃工場に大きく書かれた「光」やカノンの玉座、ライチ。煤けた産業ガスまみれの世界観にぴったり。あとで調べたら映画「るろうに剣心」の美術さんなのですね。


ビジュアルにホイホイされてばかりで本当にあれなんだけど、公式ビジュアルのジャイボさん美しすぎるでしょ(ずるい)
ジャイボに関しては期待通り。いや、期待以上です。

以下ネタバレ。








★ジャイボ(演・間宮祥太朗)

キャスト発表の時点で、近年男らしい役のイメージが多かった間宮くんがジャイボ?!と驚いたし、2012舞台版の玉ちゃんが原作漫画から飛び出てきたみたいなジャイボだったので正直大丈夫なのかな、と思っていたのですよね。

杞憂!

まみたすジャイボは『自分が既に大人になってしまったことに諦観している』ように見えた。「キャ↓ハッ↑☆」が独特のイントネーション。目の奥が常に憂いを帯びていて、光クラブの誰よりも大人びた少年。
ゼラを含めた光クラブの面々をチェス駒に、ジャイボ自身をプレイヤーにそれぞれ揶揄する映画オリジナルの台詞があるけど、ただしく彼は光クラブの誰よりも超越者だったとおもう。

ゼラ様と向き合ったときの身長差だったり(古川くん<<間宮さん)、声変わりのくだりだったり、ジャイボがたしかに二次性徴に抗い、そして敗れ、諦観している感がよく出ている気がした。永遠に少年のままではいられない。彼はきっと自分の中に醜い臓物が詰まっていることも理解している。まみたすの掠れた声で「もう声変わりが始まってきたよ」とか、儚すぎて泣きそうになってしまった。



★ゼラ様(演・古川雄輝)

ビジュアル文句無さすぎ。いやどのキャストもそうなのだけど、姫カット眼鏡似合いすぎ。二次元?
キラキラ王子様ってイメージ(私の古川くんのイメージはイタキスから受けたものが主なので)のふるかわくんが真性のドクズを演じているの正直興奮したし、ええ声で罵倒されるニコが羨ましい。
見ていて吐き気がするほどのクズをキレッキレに演じていて、ゼラ様くたばってくれってわりと序盤からおもってた。
ゼラ様、吐瀉物をおもいっきりぶちまけて失禁するし、ついでに内臓もぶちまける。※原作通り
よく許可おりたな~って思ってしまった。
最初と最期が原作と違っていて、それだけが少し納得がいかない。
頭の中にまものが棲んでいる系ゼラ様は新しい。



タミヤ(演・野村周平)

スーパーヒーローだった。

タミヤもジャイボ同様、漫画版よりずっと大人びた印象を受けた。等身大の少年から逸脱しない程度の落ち着きと、「真実の弾丸」にふさわしい活躍っぷり。ゼラよりモテる設定に納得しかないし、自分がカノンならライチを捨ててタミヤと逃避行した。(ごみすぎる感想)
海辺のシーンはアドリブなのか、写真を見つけてダフやカネダとはしゃいでいるのが中学生の幼なじみらしくてとてもかわいい。
パチンコの名手という設定がなくなって釘ガンに変わってしまっていたので、ダフの処刑シーンがかなりアッサリになってしまったのがかなしい。



★ニコ(演・池田純矢)

個人的MVP!!!
どのシーンも素晴らしくニコだった。誰よりもアインツであれ。

ニコの背景は映画では描かれないのだけど、ほの昏い視線や自身の在り方に苦悩するところだったりとか、たしかにニコがいた。常に劣等感に苛まれていて、原作漫画みたいなどんでん返しも与えられなくて、惨めに人生を終えるニコがとても悲しかった。最期くらい描写してやれ!(泣)

池田純矢の怪演!
えぐりだした片目をゼラに差し出すシーンとか、鬼気迫る演技に引き込まれた。
個人的にはゴーカイからちょいちょい絡んでいた杉田氏と純矢くんがガッツリお芝居で絡んでいたので、なんだか嬉しくなってしまった。



雷蔵ちゃん(演・松田凌)

直前まで「パラノイア★サーカス」を観ていたのでその余韻がまだ残っていて、きゃるんきゃるんで画面に現れた雷蔵ちゃんに役者さんって凄いなあ、と実感させられた。
メチャメチャかわいい!
鼻歌ふん♪ふん♪しながらお裁縫してるの、オカマ力高すぎる。ヤコブとじゃれてるシーンでナイチチ揉まれてて笑った。
あやみちゃんが入るまでかわいい、かわいいってちやほやされていたというエピソード*1にも納得。
原作漫画の「顔だけはやめて!」のシーンが個人的に好きなので、映画版でもこの台詞が聞けて満足でした。



★ヤコブ(演・岡山天音)、カネダ(演・藤原季節)、ダフ(演・柾木玲弥)

踏んだり蹴ったり三人衆、というかんじ。(まとめてごめんなさい)

それぞれ最期が改編されていて、カネダがいちばん踏んだり蹴ったり感あった。
例のシーンとか(ダフの荒い息遣い)って字幕なら絶対に出てたと思うし、熱演でした。



★デンタク(演・戸塚純貴)

ライチに「自分は人間」というプログラムを書き加えた張本人。「美しい」概念のレクチャータイムでママみのある口調がかわいかった。ライチがカノンを拐ってきたシーンの、ほくそ笑むゼラ様の後ろでガッツポーズしながらやったぞ~~!って親みたいな顔で喜んでいて、なぜかわたしが泣いた。



★カノン(演・中条あやみ)

映画版カノンはメンタルが強くて芯のある女の子という印象。

目覚めてすぐオルガンが登場しないせいで、レクイエムのシーンで現れたオルガンに唐突感しかなかった。

美少女×ロボット×廃工場。耽美だ~~。ゼラ様いわく「廃墟の恋人」が、とてもマッチしていた。

物語が全体的にヘビーなので、あやみちゃんの美しさで乗りきった感がある。
映画「渇き。」も観たあとだいぶ疲れたのだけど、小松菜奈ちゃんのかわいさでだいぶ救われた。黒髪ロングのアンニュイ美少女は正義。
昔の栗山千秋みたいに、謎めいた美女路線でいろいろ出てほしい。好きです。






 キャストさんや美術はとてもよかったのだけど、ゼラ様の圧倒的厨二感は映像で見てるとなんだかやっぱり笑えてしまった。舞台版でも笑えたのだけど、舞台版のゼラ様の厨二病ってもはや持ちネタ感ある。狙ってやってるっていうかね。
映画版、見たときに狙った面白さなのか真面目に厨二やってるのかわからなくて戸惑ってしまった。ここ笑うとこ?!みたいな。

原作漫画を要所要所で再現しているのだけど、なんていうか、そうじゃないんだよおおお。ギャグと同じくらい儚さも見たかった。脚本と解釈違いおこした感ある。(?)

だけど、まっさらな状態で観ていたら絶賛だったのかもしれない。個人的に映画「渇き。」を観たあとと同じような胃もたれ感を味わった。



 今をときめく若手俳優たちが、光クラブから逃げられない強迫観念に縫い止められながら、考えつくかぎりグロテスクに最期を迎えるさまは見ていて圧巻。スプラッタ系が平気なら一回みておいて損はないかと思います!




舞台「パラノイア★サーカス」感想

3月2日マチネ観劇しました。

妖しい世界観とニチアサ出演者らしい王道ストーリー!!

少年社中×東映のコラボプロジェクト

パンフやインタビューを見ていると、この公演が旗揚げというか、第1弾、みたいな書き方なので第2弾、3弾と長いプロジェクトになったらとても嬉しい。期待です。


個人的には初めての少年社中さん舞台。

正直に言うと、衣装・ビジュアルと音楽の好みがど真ん中ストライクすぎて、勢いだけで観に行ってしまった感がある。キャスト関係なくビジュアルだけで足を運んだ人、絶対にいると思う。それだけに世界観が素晴らしい!

 
これより御覧いただくはまことのゆめ、パラノイア★サーカス!
0:14~のメインテーマがとても好き。

華やかな衣装と怪しげな照明を纏った登場人物たちが舞台を次々と行き交う感じ!
どこを切り取っても目を惹き付けられてしまうわくわく感はまさにサーカス団。



勢いに拍車をかけたのがパラノイア★サーカス公式サイトのキャスト一覧なのですが、パソコンだとマウスオン、スマホだと詳細クリックで目を閉じていた登場人物の目が一瞬見開かれる。
夢から覚醒するみたいに。


「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと。」


そう、パラノイアなんですよ!

以下ネタバレ。









おざりょ×井俣さんのインタビュー*1で触れているけど、「パラノイア★サーカス」は小説家の主人公が、自身の生み出したキャラクターに翻弄され、やがて彼らによってその妄想世界を崩されていく、というストーリー。

パラノイア★サーカス』―それは、孤島を本拠地とするサーカス団。
見世物は極上の『謎』。

奇妙奇天烈なパフォーマーたちは、謎に満ちた狂気と現実の境目を疾走する。
稀代の大怪盗『カイジン20面相』がパラノイア★サーカスから“あるもの”を盗み出した。
それは『謎』そのものだった。

謎は世界から消え去り、世界は音を立てて崩れ去っていく...。

だが、そこに立ち上がる男がいた。ただ彼は観客だった。
その観客は小説家に憧れ『物語』そのものを愛していた。
彼は依頼を受け、謎のなくなった世界の『謎』を取り戻していく。

消えかかる世界を守り抜くことができるのか?
カイジン20面相の正体は?!
パフォーマーたちの『パラノイア(妄想)』はステージの中で混ざり合い溶け合い、
現代の狂気を映し出す壮大なパノラマへと姿を変える。


ミステリーらしくミスリードがいくつも仕込んであって、終盤に向かってひとつずつそれが解かれていくさまは見ていて痛快でした。

王道のクローズドサークルミステリー。王道なのだけど、物語を展開する世界観が幻想的でノスタルジック。縦横いっぱいに組まれたセットや登場人物の多さも相まって、リアルなサーカステントを連想した。

ところどころに挟まれるギャグ(井俣さんのターン毎公演やってると思うと凄すぎる!)やアドリブの安心感!アホの明智、ナミコシ警部&ナカムラ刑事の存在が、重たくなりがちな物語の清涼剤だった。

大団円的な収束はまさに仮面ライダーの最終回みを感じたのだけど、DVDには後日談が収録されるとのことで納得。
そんなの予約してしまうよね~~

パラノイア★サーカス [DVD]

パラノイア★サーカス [DVD]




主人公の妄想世界でしか生きられないサーカス団。主人公が夢から醒め、二度と妄想世界には没入できないーーそんなバッドエンドをひそかに期待していたのだけど、キャスト一覧の小ネタを見るに、「主人公が夢から醒めること」がこの物語の大前提条件だったのかなと思った。

パラノイアから脱却した主人公がまた同じところに戻ってきてしまうのはある意味メリバなのか、とか、ハッピーエンドに見せかけて実は、とか、いろいろ考えてしまう終幕だったので、(ただの考察厨の思い過ごしのような気がとてもする)まあそれも含めて「極上の謎」ということで。



登場人物についてもすこし。

江戸川乱歩(演・小澤亮太)

ストーリーテラーと思いきや、謎の中核にいる江戸川乱歩
物語や登場人物に翻弄され、苦悩する場面がとても多い。前半の矢継ぎ早にセリフをまくしたてるシーンは圧巻。静と動のメリハリ。
ゴーカイ初期のおざりょを思い出してなんだか感慨深くなってしまった。

金ぴかルパンとの立ち回りがかっこよすぎて、というかゴーカイアクションのオマージュみたいな回し蹴りがあったような気がしてならない!!!


✴コバヤシ少年(演・松田凌)

宵の明星、家路を急ぐわらべが笑う!(ばきゅーん)

おそらく観客に一番近い目線を持つであろうコバヤシ少年。
松田凌くん、身のこなしからとても少年みを感じすぎてびびる。あちこち跳びはねるので羽織った上着がひらひらひらひら、白いハイソとともに視界を揺れる。目の毒だ(大感謝)

編集さんに銃をぶっぱなしまくるシーン、メチャメチャかわいい!鉄砲隊BANGBANGだ!!!

「退屈な日常から脱却したい」と願ってやまないコバヤシ少年。
クライマックス、物語を終わらせまいと脱却したかったはずの日常を取り戻すべく何度も“やり直し”を繰り返す。
「そこまでだ!」の声が“やり直し”をするたびに涙混じりになって崩れていく。『パラノイア★サーカスを終わらせたくないコバヤシ少年』と、まだ観ていたい観客側の感情が、“やり直し”のたびにリンクしていく気がした。

個人的BGM:明晰夢/cinemastaff
「指先にあるそこは理想の国。」


アルセーヌ・ルパン(演・鈴木勝吾)

ルパン様のどんでん返し!
正直、キャスト一覧の勝吾くんの覚醒ビジュアルを見て、背中を押されて劇場まで行った感があるので、ビジュアル通りのルパンを期待して行ったら金ぴかのアルセーヌ・ルパンがいてとんだ英雄王だ…*2と思ってしまったのは秘密。
全身金ぴか。アクションで翻るマントと、カテコのお辞儀でシルクハットを抑えるところ、黄金紳士降臨という感じ。
立ち回りや佇まいが天下一品、シニカルに主人公を翻弄する掴み所のないアルセーヌ・ルパン、最高でした。声が通る通る!かっこいい!!!

物語のジョーカーのような役回り。

仕込みステッキを両手で構える?ところの表情が素敵すぎたのでDVDでぜひアップにしていただきたい。



 去年地元で公演していたサーカス団を観たのですが、開演前にクラウンによる前説があって、(社中舞台で毎回ある演出だったらすみません)今回のユウレイ時計による客席いじりタイムはそういう演出だったのかな、と!


 パンフレットと舞台衣装で他の登場人物が皆マイナーチェンジ(?)している中、イン獣だけまったく互換性のない衣装*3で、前半違和感があったのですが、それも結末を知るとあ~~!というアハ体験。
サーカス団の口上「恨みつらみも、心の本に書き記す」もしっくりきた。これを踏まえてもう1回観たい!

一度観たからこその種明かしが楽しい舞台。

「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと」から始まる口上、乱歩作品からオマージュして組み合わせてると思うので元ネタ全部読破したらまた違った見えかたになるのかなと思う。


DVDが待ち遠しい!


はてなブログ使い方わからなすぎて笑う





*1: 少年社中×東映 舞台プロジェクト『パラノイア★サーカス』 小澤亮太★井俣太良、スペシャル対談 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

*2:英雄王ギルガメッシュFateシリーズに登場する全身金ぴかのキャラクター。

*3:パンフやビジュアルではモダンガール風の女性/舞台衣装はもふもふの着ぐるみ